記事公開日:
【初詣の着物】選び方ガイド ! 知っておきたい種類、格、寒さ対策

新年を迎える初詣。一年の始まりを華やかな着物姿で迎えたいと考える方は多いのではないでしょうか。
洋服と違い、和装には「格」があり、その場にふさわしい選び方やマナーが存在します。特に一年の計を立てる初詣では、神様へ失礼のない装いを心がけたいですよね。
この記事では、初詣にふさわしい着物の種類と「格」の違い、そして真冬の参拝で必須となる寒さ対策まで、徹底的に解説します。
着物で新年を迎える意味と魅力
着物は、古くからお正月や成人式など、人生の節目の「ハレの日」に着用されてきた特別な衣装です。一年の始まりである初詣に和服で出かけることは、身も心も引き締まり、神様への敬意を表すことにつながります。
また、品格ある着物をまとうことは、ご家族や親戚へのご挨拶といった新年の行事においても、ふさわしい立ち居振る舞いを演出します。
初詣に着ていくべき着物の「種類」と「格」の基礎知識
着物には、着用シーンに応じて「格」が決まっています。ここでは、初詣の場にふさわしい着物の種類を、格式の順にご紹介します。
| 着物の種類 | 格(TPO) | 特徴・初詣での着用シーン |
|---|---|---|
| 振袖 | 略礼装 (未婚女性の第一礼装) |
未婚の10代~20代の女性に最適。 最も華やかで格調高い装い。 |
| 訪問着 | 略礼装(準礼装) | 既婚・未婚を問わず着られる格式ある着物。 大人の女性が品格を保ちたい場合に適します。 |
| 色無地 | 略礼装 (紋の数による) |
紋を付ければフォーマルに、紋がなければ外出着として着用可能。 上品で控えめな装い。 |
| 小紋 | 外出着・おしゃれ着 | 比較的カジュアルな着物の種類。 全体に柄が入っており華やか。友人や家族との初詣におすすめ。 |
| 紬 | 普段着・街着 | 最もカジュアルな着物。 非常に親しい間柄での初詣など、限定的なシーンでの着用に留めるのが無難です。 |
【未婚の女性】華やかに装うなら「振袖」
未婚女性の最も格の高い装いである振袖は、新年を祝う「ハレの日」にぴったりです。特に成人式を迎えたばかりの女性には、その華やかさで、神社や寺院の雰囲気を一層明るく彩ってくれるでしょう。
品格ある「訪問着」「色無地」
既婚の女性や、格式を重視したい未婚の女性には、訪問着が最もおすすめです。訪問着は、絵羽模様といって、肩から裾にかけて一つの絵のようにつながる柄が特徴で、略礼装として新年を祝う場にふさわしい品格を備えています。
また、一色染めの色無地も、一つ紋を入れれば準礼装となり、派手になりすぎず、上品に装いたい場合に重宝します。
気軽に楽しむ「小紋」「紬」はどこまでOK?
小紋は、柄が全体に繰り返し入っているのが特徴で、外出着として親しまれています。洋服でいう「きれいめカジュアル」にあたり、比較的混雑の少ない近所の神社や、ごく親しい家族との初詣であれば問題なく楽しめます。
ただし、紬は普段着の格付けであるため、格式の高い大きな神社や、親戚へのご挨拶を兼ねる場合は避けるのが賢明です。
着物の格に合わせた帯の選び方
着物の格に合わせて、帯の「格」も合わせるのがマナーです。
振袖・訪問着・色無地(紋付)には、袋帯を合わせます。二重太鼓や変わり結びで華やかさを出しましょう。小紋・紬には、名古屋帯や洒落袋帯を合わせます。
初詣にふさわしい着物の「柄」と「色」の選び方
新年の着物には、一年の幸福を願う特別な意味を込めることができます。
縁起の良い「吉祥文様」と新春らしい柄
新年のお祝いにふさわしいのは、おめでたい意味を持つ「吉祥文様」です。
- 松竹梅:寒い冬にも緑を保つ松、まっすぐ伸びる竹、いち早く花を咲かせる梅は、忍耐力と生命力を象徴する代表的な文様です。「歳寒の三友」とも呼ばれ、お正月には欠かせない格調高い柄です。
- 宝尽くし:宝珠、打ち出の小槌、隠れ蓑など、さまざまな宝物が一箇所に集められた柄で、福を招き、願いを叶えるという大変おめでたい意味があります。
- 鶴・亀:「鶴は千年、亀は万年」と言われるように、長寿と夫婦円満を願う柄として有名です。特に鶴は天界と地上を結ぶ鳥とされ、神聖な意味合いも持ちます。
- 扇(末広がり):扇を広げた形が末広がりであることから、「未来への明るい展望」や「繁栄」を意味し、新年に非常にふさわしい柄です。
これらの柄を選ぶことで、より清々しく、縁起の良い初詣となるでしょう。
【関連記事】
着物の柄に込められた意味とは?季節ごとやシーン別の選び方についても解説
冬の季節感と華やかさを両立させる色使い
初詣は真冬に行われますので、着物の色合いも考慮しましょう。
華やかさ
赤、白、朱色(しゅいろ)といった清々しい色や、新年の始まりを祝うお祝いの色は、着物姿に特別な華やかさを与えてくれます。特に、白地に朱や金などが入った柄は、お正月らしさが際立ちます。また、濃い地色(藍やボルドーなど)を選ぶ場合は、帯や小物で明るい色を取り入れると重くなりすぎるのを防げます。
季節感
柄に冬の花や風景を取り入れることで、より季節感が表現されます。例えば、厳寒の中で美しく咲く椿や水仙などの柄は、季節感を出しつつ、女性らしい華やかさも演出できます。雪輪(雪の結晶を丸く囲んだ柄)なども、冬の装いとして人気があります。
上品に見せたい場合は、濃い地色に明るい柄が散りばめられたものや、パステルカラーなど、明るく清々しい色を選ぶと、落ち着きがありながらも新春らしい華やかさが際立ちます。着物の種類に関わらず、派手すぎず、品格を保つ色選びを心がけましょう。
真冬の初詣も安心!完璧な防寒対策と着付けのコツ
真冬の屋外での参拝は、冷え込みが厳しくなります。着物姿を美しく保ちつつ、寒さで体調を崩さないための寒さ対策は必須です。
着物用コート・羽織の種類と選び方
着物の上に羽織る上着は、防寒の要であり、着物全体の品格を左右する大切なアイテムです。
着物用コート(和装コート)
洋服のコートにあたり、防寒性が最も高く、また着物を塵や汚れから守る「塵除け」としての役割も果たします。最も一般的なのは、衿の形が四角い「道行コート」や、打ち合わせが深く、首元まで暖かい「道中着(どうちゅうぎ)」です。初詣で訪問着や色無地といった格式のある着物を着る場合は、これらの和装コートを選ぶと統一感が出ます。
羽織
洋服のカーディガンのような役割を果たし、室内でも着用できるのが特徴です。着物姿をおしゃれに見せるアイテムですが、コートに比べると防寒性はやや劣ります。気軽な小紋などでの初詣の場合は、羽織で軽快に装うのも素敵です。
素材は、ウールやカシミヤなどの上質な暖かい素材を選ぶことで、防寒性と上品さを両立させることができます。特にカシミヤは軽くて暖かく、格式ある装いにふさわしいとされています。
インナー・足袋カバー・小物活用術
外からは見えない部分の防寒対策が、快適な参拝を左右します。重ね着や機能性インナーを賢く活用しましょう。
- 肌着:和装用の機能性インナー(吸湿発熱素材など)は、薄手で着膨れしにくいため必須アイテムです。長襦袢の下に着用することで、驚くほど暖かさが変わります。
- 足元:足袋は意外と冷えるため、足袋の上から履く足袋カバーや、厚手の足袋ソックスは非常に有効です。特に足袋カバーは、汚れ防止にもなるため一石二鳥です。使い捨てカイロを足の裏(足袋の上)に貼るのも効果的です。
- 小物:マフラー、手袋、ファーなどの小物は、防寒だけでなく、着物全体のコーディネートをおしゃれに仕上げるアクセントにもなります。ただし、初詣という場では、ダウンジャケットなどのカジュアルすぎる洋装小物ではなく、和装に合う上品なものを選び、品格を保ちましょう。
参拝時の着崩れを防ぐ注意点
せっかく美しく着付けた着物も、着崩れてしまっては見た目の品格が損なわれます。以下の点に細心の注意を払うことで、常に優雅な姿を保ちましょう。
- 歩幅と歩き方:普段より小さく、内股気味で歩くことを意識しましょう。これにより裾が開きすぎるのを防ぎ、着物のラインを美しく保つことができます。
- 階段の昇降:階段を昇る際は、裾を軽く(左右どちらかの手で)持ち上げながら、一段ずつ昇降します。こうすることで、裾を踏んでしまう事故や、着物の裾が乱れるのを防げます。
- 座る時・乗り物に乗る時:椅子に座る際は、浅めに腰かけ、帯結びを潰さないように注意します。また、袖が汚れないよう、袖を膝の上に重ねるように置くか、椅子と体の間に挟むようにすると清潔です。長時間の移動となる場合は、背中のシワを防ぐため、背もたれにもたれかかりすぎないように意識しましょう。
まとめ:美しい着物姿で清々しい新年のスタートを
初詣に着物で出かけることは、一年の始まりにふさわしい、心に残る経験となります。
年齢や立場、そして初詣のシーンに合った着物の種類を選び、縁起の良い柄と完璧な寒さ対策で、自信を持って新年を迎えてください。
品格ある着物の選び方で迷われた際は、ぜひプロの意見を参考にしてください。
鈴花では、お客様の初詣シーンやご希望の格式に合わせた最適な着物をご提案しています。上品な訪問着から華やかな振袖、さらには冬の防寒対策小物まで、トータルでサポートいたします。
清々しい新年を美しい着物姿で迎えたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
鈴花グループの詳細はこちら
https://www.suzuhana.co.jp/
ライター紹介






