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結婚式にふさわしい着物とは?立場別の着物の選び方や選ぶ際の注意点を解説

親戚や友人、知人の結婚式に着物で参列したいけれど、「どんな着物を選べばよいのか分からない」と悩む方は多いのではないでしょうか。最近では「着物を自由に楽しむ」風潮が広がってきたものの、結婚式のようなフォーマルな場ではTPOを考えることがとても大切です。この記事では、招かれる側の立場にふさわしい着物の選び方や、着物で結婚式に参列する際の注意点・マナーについて分かりやすく解説します。


1.結婚式にふさわしい着物とは

まず基本となるのは、「格(フォーマル度)」です。結婚式では格の高い順から、「正礼装」「準礼装」「略礼装」があり、立場によってふさわしい着物が異なります。

■ フォーマルな着物の種類

・黒留袖:地色・地紋は黒の無地で、背中・両袖・両胸に五つ紋、裾には絵羽模様が入っている。

既婚女性の最高格の着物で、新郎新婦の母親や親族が着る(正礼装)

・色留袖:地色は黒以外の留袖で、裾に絵羽模様が入っており、地紋の有無や紋の数に決まりはない。既婚・未婚問わず親族や上司などが着る(五つ紋で正礼装)

・訪問着:地色・地紋は自由で、絵羽模様の入った着物。主に裾・肩・袖・衿などに柄が入り、既婚・未婚問わず着られる。友人や知人、会社関係など、幅広い立場で着用が可能(準礼装)

・付け下げ:地色・地紋は自由で、絵羽模様ではなく控えめな柄ゆきの着物。既婚・未婚問わず着られ、ややカジュアルな場に適している。(略礼装)

・色無地:地色・地紋は黒以外の単色で染めた無地の着物で、紋の有無や数で着用シーンが変わる。五つ紋・三つ紋:準礼装、一つ紋:略礼装、無紋:普段着となり結婚式には不向き。

・振 袖:未婚女性の正礼装で、袖丈が長く華やかな色柄が多い。一般的に成人式を機に購入し、その後卒業式や結婚式など着用する機会は多い。袖丈を短く(袖の中に縫い込む)して訪問着として着ることも可能。

2.【立場別】結婚式の着物の選び方

結婚式に参列する場合、新郎新婦との関係性や立場によって選ぶ着物の「格」や「色柄」が変わります。以下を参考に適切な着物を選びましょう。

■ 親族の場合(母・姉妹・叔母など)

親族として結婚式に参列する場合は、正礼装が基本です。既婚の方は黒留袖、未婚の方は五つ紋入りの色留袖を。さらに、若い未婚女性であれば振袖を選ぶのもよいでしょう。

なかでも黒留袖は、人生の中で着用の機会が限られる特別な礼装です。だからこそ、黒留袖を着る立場になったときには、ぜひ袖を通してみることをおすすめします。
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■ 友人・同僚の場合

親族が正礼装を基本とするのに対して、友人や同僚として参列する場合は、準礼装や略礼装が基本。準礼装である訪問着は、既婚・未婚問わず着用でき、華やかさと品格を兼ね備えたフォーマル着物です。また、式場や式のコンセプトがカジュアル寄りであれば、略礼装にあたる付け下げや、一つ紋を入れた色無地でも十分にふさわしい装いとなります。また、未婚の方であれば、より格式の高い振袖も選択肢に入ります。

友人や同僚としての参列は、比較的自由に色柄を楽しめる立場ですが、あくまで主役は新郎新婦。そのため、白に近い色味や、過度に派手な色柄、豪華すぎる装いは避けた方が無難です。

とはいえ、結婚式という華やかな場に彩りを添える存在として、品のある明るい色合いや季節感のある柄を楽しめるのも、友人ゲストならではの特権です。お祝いの気持ちを込めて、晴れやかな気持ちで装いを選びましょう。
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■ 上司・恩師など目上の立場として参列する場合

友人・同僚と同様に着物の格は準礼装や略礼装を選びますが、立場上控えめで品格のある装いを心がけると良いでしょう。おすすめは色留袖や落ち着いた訪問着で、色留袖は黒留袖に次ぐ格式を持ち、目上の立場にふさわしい着物として重宝されます。訪問着を選ぶ場合も、淡い色合いや上品な柄ゆきのものを選ぶと、知性と礼節を感じさせる装いになります。友人・同僚の装いと同様に、式場や式のコンセプトがカジュアル寄りであれば、略礼装にあたる付け下げや、一つ紋を入れた色無地でも、落ち着いた色柄を選べば十分ふさわしい装いとなります。
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3.結婚式の着物を決める際の注意点

■ 新郎新婦より目立たないこと

結婚式の主役は、あくまでも新郎新婦です。参列者としては、控えめな華やかさを意識することが大切です。白無垢やウエディングドレスと色がかぶる「白系」の着物や、極端に派手で豪華すぎる柄は避けましょう。着物の色や柄に迷った場合は、落ち着いた色調に上品なアクセントのあるものを選ぶと、主役を引き立てながら自分らしさも演出できます。

■ 季節や会場に合わせた色・柄を選ぶ

着物は季節感を表現できる日本ならではの装いです。春は桜や若葉、夏は涼しげな流水や朝顔、秋は紅葉、冬は椿や南天など、季節の花や自然を取り入れた柄は好印象を与えます。また、会場の雰囲気によっても選ぶべき着物は変わります。格式の高いホテルでは格調ある訪問着や留袖がふさわしく、カジュアルなレストランやガーデンウエディングでは付け下げや色無地などやや軽やかな装いが好まれます。

■ 帯や小物のコーディネートも重要

着物は、帯やバッグ、草履といった小物まで含めた全身のバランスが大切です。着物の格に合った帯を選ぶのはもちろん、帯締めや帯揚げなどの小物も、上品でさりげないアクセントになるよう工夫しましょう。バッグや草履も、あまりカジュアルになりすぎず、フォーマル感のある素材や色味を選ぶと、全体の印象がまとまります。


4.結婚式で着物を着る際におさえておくべきマナー

■ 着崩れしない工夫

式の途中で着崩れてしまうと、自分も周囲も気になってしまいます。プロによる着付けを依頼するか、経験のある方にお願いするなど、事前にしっかりと準備をしておくことが大切です。また、帯揚げが必要以上に上がっていないか、帯締めの端が落ちていないか、着物の裾がめくれていないかなど時々チェックをしましょう。

■ 会場での動作に配慮

着物を着ているときは、姿勢や立ち居振る舞いにも自然と気を配ることが求められます。歩くときは少し小股で、階段の昇降や椅子の立ち座りの際には裾を軽く手で押さえると美しく見えます。また、手を大きく広げるような動作や、腕まくりなどは控えましょう。動作が静かで丁寧であることが、着物姿をより引き立てます。

■ ヘアスタイルやメイクもトータルで上品に

着物に合うヘアスタイルは、首まわりがすっきりと見えるアップスタイルやまとめ髪が基本です。髪飾りはあまり大ぶりすぎないものを選び、落ち着いた華やかさを意識するとより上品な印象になります。メイクも、普段よりやや華やかでも良いですが、濃すぎず品のある仕上がりを心がけましょう。

■式全体とのバランスを意識

着物は洋装に比べてどうしても目立ちやすいため、全体のバランスや場の雰囲気を読むことも大切です。たとえばカジュアルなドレスコードの会場にあまりに格の高い着物で参列すると、浮いてしまうこともあります。会場の格式、新郎新婦の意向、他のゲストの装いなどを事前に確認し、「ちょうど良い格の着物」を選ぶよう意識しましょう。

5.まとめ

結婚式立場別_5.jpg結婚式に着物で参列することは、日本文化ならではの美しいお祝いのかたちです。大切なのは、「誰の結婚式に、どんな立場で出席するか」をふまえて着物を選ぶこと。着物の格や色柄、マナーを押さえれば、安心して式に臨めるはずです。

また、着物姿のゲストがいるだけで式場がよりいっそう華やかとなり、おもてなしの場としての格もぐっと高まります。新郎新婦やそのご家族にとっても、「着物を着てくれた」という気持ちはとても嬉しく、心に残るもの。心を込めた装いは、あなた自身の印象だけでなく、式全体を引き立てる大切な一要素となります。

きちんと準備をして、晴れの日にふさわしい装いでお祝いの気持ちを届けましょう。

 

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ライター紹介

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齋藤京子

きものメーカーの広報担当。
娘の七五三できものを着たことがきっかけできもの沼へ。