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着物の丸洗いとは?洗い張りの違いやメリット・デメリットを解説

「着物って洗えるの?」「着物をクリーニングに出したいけれど、どうすればいい?」「よく聞く『丸洗い』と『洗い張り』って何がどう違うのか分からない」など、着物初心者さんを悩ますお手入れの悩み。
今回は、着物クリーニングの基本である「丸洗い」について、混同されやすい「洗い張り」との違いや、知っておきたいメリット・デメリットを詳しく解説します。
1. 着物の丸洗いとは

着物の丸洗いとは、一言で言えば「着物を解かずに、仕立て上がった状態のまま洗う」方法のことです。洋服でいうところの「ドライクリーニング」に近いイメージです。
専用の有機溶剤を使用して、着物の形を崩さないように優しく洗浄します。
- 主な目的: 着用中についた皮脂汚れ、排気ガス、埃、ファンデーションなどの「油性の汚れ」を落とすこと。
- 仕上げ: 洗浄後、職人が蒸気を用いて形を整え、シワを伸ばす「プレス仕上げ」までを行うのが一般的です。
シーズン終わりに「さっぱりさせてから収納したい」という時の、最もポピュラーなメンテナンス方法と言えます。
【あわせて確認!】撥水加工済みの着物も丸洗いできる?
多くのガード加工・撥水加工は、丸洗いを前提に施されているので可能です。ただし、丸洗いを何度も繰り返すとガードが弱まる事もありますので、心配な場合は購入先やガード加工窓口などにご相談ください。
2. 着物の丸洗いと洗い張りの違い
「丸洗い」とよく比較されるのが「洗い張り(あらいはり)」です。どちらも着物を綺麗にする手法ですが、その工程と目的は大きく異なります。
| 比較項目 | 丸洗い | 洗い張り |
|---|---|---|
| 工程 | 解かずにそのまま洗う | 一度解いて、反物の状態に戻して洗う |
| 洗浄液 | 有機溶剤(油性汚れに強い) | 水と石鹸(水溶性汚れに強い) |
| 目的 | 表面的な汚れを落とす | 生地を蘇らせる、仕立て直す |
| コスト | 比較的リーズナブル | 高額(解き代・仕立て代が必要) |
「洗い張り」は、生地に張りを戻し、寸法(サイズ)を変えて仕立て直したい場合や、丸洗いでは落ちないほど蓄積した汚れを落とす際に行う「究極のメンテナンス」です。
3. 着物の丸洗いのメリット
丸洗いが選ばれるのには、手軽さだけではない確かな理由があります。
リーズナブルで納期が早い
洗い張りのように「解く・洗う・縫う」という工程がないため、費用を抑えることができます。また、お預かりからお渡しまでの期間も短く、次に着る予定が決まっている場合でも利用しやすいのが特徴です。
油性汚れ、皮脂汚れに強い
溶剤を使って洗うため、衿(えり)元のファンデーション汚れや、袖口(そでぐち)についた皮脂汚れ、食べこぼしの油汚れなどを効果的に落とすことができます。
型崩れのリスクが低い
仕立て上がった状態で専用の機械や手作業で洗うため、寸法が変わってしまう心配がほとんどありません。お気に入りの着物のシルエットを保ったまま綺麗にできます。
4. 着物の丸洗いのデメリット
メリットが多い丸洗いですが、万能ではありません。以下の点には注意が必要です。
水溶性の汚れ(汗など)は落ちにくい
丸洗いに使う溶剤は「油」を落とすのが得意な反面、「水」に近い成分である汗や飲み物のシミを落とす力はそれほど強くありません。汗をたくさんかいた場合は、丸洗いと併せて「汗抜き」のオプションを注文する必要があります。
古いシミや激しい汚れには不向き
数十年放置された古いシミや、生地の奥まで浸透したカビなどは、丸洗いだけでは完全に除去できないケースが多いです。その場合は「シミ抜き」や、前述の「洗い張り」が必要になります。
5. まとめ

着物の「丸洗い」は、大切な着物を手軽に、かつ美しく保つための欠かせないメンテナンス方法です。
- 軽い汚れや、シーズンの終わりのケアなら「丸洗い」
- 汗をしっかりかいたなら「丸洗い+汗抜き」
- 根本からリフレッシュしたいなら「洗い張り」
このように、着物の状態や今後の予定に合わせて使い分けるのが賢いお手入れの秘訣です。
大切な一着を、いつまでも美しく。
「私の着物にはどのお手入れが最適?」「見積もりだけ知りたい」といったご相談も大歓迎です。
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