i KIMONO いきもの

最終更新日:

記事公開日:

着物にカビが生えたらどうする?茶カビや白カビの自宅での取り方を教えます

お気に入りの着物をしまっていたら、カビが生えていた…!そんな経験はありませんか?
湿気の多い日本では、着物の保管方法を間違えるとカビが発生しやすくなります。せっかくの大切な着物、長く美しく着続けたいですよね。

この記事では、着物のカビの原因や種類、自宅でできるお手入れ方法、専門クリーニングの活用法などをわかりやすく解説します!

着物にカビが発生する原因

着物にカビが生える原因はいくつかあります。特に、湿度・汚れ・収納環境が大きく関係しています。

高温多湿の環境

着物は絹などの天然素材が多く、湿気を吸いやすい特徴があります。日本の気候は湿度が高いため、梅雨や夏場に特にカビが発生しやすいです。湿気の多い押し入れやクローゼットに長期間しまっておくと、カビが繁殖しやすくなります。

汚れや皮脂がカビの栄養源に

着物を着た後、汗や皮脂、食べこぼしなどの汚れが付着すると、それがカビのエサになってしまうことがあります。見た目には汚れがなくても、長時間放置するとカビの原因になり得るため、着用後は適切なケアが大切です。

通気性の悪い収納方法

着物を密閉された空間にしまいっぱなしにすると、湿気がこもりカビが発生しやすくなります。通気性の悪いプラスチックケースに入れるのも要注意。桐タンス以外の収納場所を使う場合は、定期的に換気することが大切です。

着物のカビの種類と進行度の見分け方

カビにはいくつか種類があり、それぞれ対処法が異なります。

白カビ:初期段階で対処しやすい

白っぽくふわふわしたカビが生えている場合は、比較的軽度な状態です。すぐに対処すれば、生地に大きなダメージを与えることなく除去できます。

茶カビ:進行すると変色やシミの原因に

茶カビは、白カビが進行した状態であることが多いです。
白カビが発生してから10年前後から20年ほど経過すると、酸化が進み、茶色やこげ茶色に変色します。
茶色や黄土色の点々としたシミのように見え、広範囲に広がることもあります。

繊維の奥に食い込んでいることが多く、自宅での除去が難しくなります。放置すると生地が変色したり、シミとして定着したりする可能性が高まります。

黄カビ:染みになりやすい

黄色いカビが生えている場合は、着物の繊維の奥まで菌糸が入り込んでいる可能性があります。完全に除去するのは難しく、専門クリーニングが必要になることもあります。

黒カビ:生地を傷めるリスク大

黒カビは、生地の劣化を引き起こす最も厄介なカビです。放置するとシミになり、生地自体を弱らせてしまうため、早めの対策が必要です。

着物のカビは、うつる?

着物に生えたカビは、ほかの着物や周囲の環境にうつる可能性があります。

カビは空気中に胞子を飛ばして繁殖するため、カビが生えた着物を他の着物と一緒に保管していると、胞子が移り、隣の着物にもカビが発生してしまうことがあるのです。
特に、通気性の悪い密閉された空間では、カビの胞子が滞留しやすく、感染リスクが高まります。

うつりを防ぐためにも、カビを発見したら、すぐにほかの着物から隔離し、適切な対処を行うことが大切です。

着物のカビを自宅で取る方法

軽度のカビなら、自宅で対応できることもあります。

用意するもの(布・ブラシ・乾燥剤など)

  • 乾いた布または柔らかいブラシ
  • 使い捨ての手袋・マスク
  • 着物専用の除湿剤
  • 風通しの良い場所

カビの軽度・中度・重度別の対処法

  • 軽度(白カビ):乾いた布やブラシで優しく拭き取る
  • 中度(黄カビ):軽く叩いてカビを落とし、陰干しで乾燥
  • 重度(黒カビ):自宅での対処は難しく、専門業者に相談

自宅で処置する際の注意点

  • カビの胞子を吸い込まないように、マスク・手袋を着用
  • 作業は屋外または風通しの良い場所で行う
  • 水拭きは厳禁!水分が残ると、さらにカビが広がる原因に

着物専門クリーニングに依頼するメリット

着物のカビがひどい場合や、大切な着物を安全にケアしたい場合は、着物専門クリーニングの利用がおすすめです。

プロの技術で確実にカビを除去

一般的な洗濯では落とせないカビも、専門技術を使えば生地へのダメージを最小限に抑えて除去できます。着物専門クリーニングでは、着物の素材や状態に応じた最適な方法を選び、カビを根本から取り除きます。これにより、カビの再発を防ぐことができます。例えば、着物の素材が絹の場合、非常にデリケートなため、家庭で洗濯をするとカビを取るどころか生地が縮んだり変色の原因となることがあります。しかし、専門店では、熟練の技術により着物の素材、カビの状態などを見極め、その着物にとって最適な方法で、カビを取り除くことができます。

変色やシミの補修が可能

カビが原因でできたシミや色抜けも、プロの技術で修復可能です。着物の色や柄を考慮しながらシミ抜きを行います。場合によっては、元の色に近づけるように染め直したり、柄を足すこともできます。あきらめていた大切な着物をまるで新品かのように美しく蘇らせることもできます。

大切な着物を長持ちさせるアドバイス

専門店ではカビを除去するだけでなく、防カビ加工や適切な保管方法のアドバイスももらえます。
防カビ加工を施すことで、カビの発生を予防し、着物の寿命を延ばすことができますし、長期保管に適した環境や適切な収納方法、日常的なケア方法について教えてもらうことで、着物を長く美しく保つことができます。

大切な着物のメンテナンスに悩んだときは、気軽に専門店をたずねてみましょう。
>>鈴花の着物クリーニングについて詳細はこちら

着物のカビ取りにかかる料金相場(クリーニング)

着物のカビ取り料金は、カビの種類や進行度、着物の素材、依頼する店舗によって大きく異なりますが、一般的な料金相場は、カビ取り丸洗いで2万円から3万円前後に設定されているところが多いです。

ただし、これはあくまで目安であり、カビの状態がひどい場合や、特殊な素材の着物の場合はさらに高額になることもあります。

依頼する前に必ず見積もりを取り、料金と作業内容を確認しましょう。

着物のカビをクリーニングで取る際の注意点

着物のカビ取りをクリーニング店に依頼する際には、いくつかの重要な注意点があります。

ドライクリーニングではカビは取れないことを知っておく

一般的な洋服のドライクリーニングでは、着物のカビはほとんど除去できません。
また、着物の生地を傷めてしまう可能性も高いです。

着物のカビは、必ず専門の「特殊カビ取り」といった水を使ったメニューで依頼しましょう。

着物専門のクリーニング店に依頼する

着物は繊細な素材や染めが多いため、洋服専門のクリーニング店では適切な処理ができない場合があります。

色落ちや生地の損傷を防ぐためにも、着物の取り扱いに特化した専門知識と技術を持つ「着物専門のクリーニング店」に依頼することが重要です。

カビがひどい場合は染色補正も検討する

カビが深く繊維に食い込み、生地が変色してしまっている場合は、カビを除去してもその部分の色が抜けてしまったり、シミが残ったりすることがあります。

このような場合、「染色補正」という技術で、変色した部分を元の色に染め直すことで、着物を美しく蘇らせることができます。

費用はかかりますが、大切な着物を長く着たい場合は検討する価値があります。

着物にカビが生えたときにやってはいけないこと

カビを発見すると、つい自己流で対処したくなりますが、間違った処置をすると悪化する可能性があります。

濡れたタオルで拭くのはNG

水分が残ることで、さらにカビが増殖してしまいます。乾いた布で優しく拭く程度に留めましょう。

消毒用エタノールや消臭スプレーの使用リスク

化学成分が着物の生地を傷める原因に。特に絹素材はデリケートなので注意が必要です。

直射日光での乾燥は逆効果

紫外線が生地を傷め、変色の原因になります。乾燥させる場合は、風通しの良い日陰で陰干ししましょう。

着物のカビを予防する方法

日頃のちょっとした工夫で、カビの発生を防ぐことができます。

定期的な虫干し

  • 年に2回、湿度の低い晴れた日に陰干し
  • 風通しの良い場所で、2~3時間干す

たとう紙を活用した適切な保管

たとう紙は湿気を吸収し、カビを防ぐ効果があります。定期的に新しいものに交換すると効果的です。

収納場所の工夫(桐ダンス・除湿剤など)

桐ダンスは湿度を調整する作用があるため、着物の保管に最適です。きもの専用の防虫剤や除湿剤を併用すると、さらに安心です。

専門の着物保管サービスを利用する

専門の着物保管サービスを利用するという方法もおすすめです。
たとえば、鈴花では、着物の美しさを長く保つために、正しい保管方法のご案内とあわせて、専用の保管サービスをご提供しています。

料金は、着物1点あたり、年額3,300(税込)円となっております。別途、丸洗い料金が必要です。
大切な一着を、安心・安全に守るために、ぜひご利用ください。
https://www.suzuhana.co.jp/storage/

まとめ:大切な着物を守るために

着物のカビは、湿度の高い環境や汚れ、収納方法の問題によって発生しやすくなります。特に日本の気候では、ちょっとした油断でカビが広がってしまうこともあります。軽度のカビなら自宅で対応できますが、黄カビや黒カビのように進行したものは、生地を傷めるリスクがあるため、専門のクリーニングに依頼するのが安心です。

また、カビを発生させないためには、日常的なお手入れが大切です。着用後に汚れを落とし、たとう紙に包んで保管することで、カビの原因を減らせます。さらに、定期的に虫干しをして湿気を逃がすことも効果的です。収納場所の環境を整え、除湿剤や桐タンスを活用することで、着物をより良い状態で保管できるでしょう。

大切な着物を長く美しく保つために、適切なケアを心がけてください。もしカビが発生してしまったら、無理に自己流で落とそうとせず、状態に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。専門のメンテナンスサービスを活用することで、安心して着物を管理できます。

ライター紹介

writer-nakamura-img.png

中村笑子

京都で着付け講師をしている中村笑子です。
Pointを分かりやすく解説しますので、ぜひ皆さんの着付けの参考にしてください。

このライターの記事一覧はこちら