記事公開日:
着物の手入れはどうする?脱いだ後に自宅でできる基本ステップとクリーニングの目安

お気に入りの一着に袖を通した後の高揚感。その余韻を楽しみつつも、帰宅した際にふと「この後、どうすればいいんだっけ?」と不安になることはありませんか?
大切にしたいからこそ、つい身構えてしまう着物のメンテナンス。実は、自宅でできる数分のルーティンさえ押さえておけば、その美しさは数十年先まで守ることができます。
今回は、すぐに実践できる「脱いだ直後の4ステップ」と、迷いがちな「プロに任せるべき見極めライン」を、分かりやすく整理してお伝えします。
1.【基本ステップ】着物を脱いだ後に自宅でやるべき手入れ
着物を脱いだ直後というのは、体温によって生地が温まり多くの湿気を含んでいます。この「湿気」と「熱」をしっかり取り除くことが、カビや変色を防ぐ最大のポイントです。
ステップ1:着物用ハンガーにかけて「陰干し」する
脱いだ着物はすぐに畳まず、必ず「着物専用のハンガー(長尺のもの)」にかけましょう。洋服用のハンガーでは型崩れの原因になります。直射日光の当たらない、風通しの良い室内で数時間から一晩ほど陰干しして乾燥させます。
ステップ2:体温と湿気を飛ばしつつ「シワ」を伸ばす
ハンガーにかけたら、帯周りや膝の裏など、強くシワが寄っている部分を優しく手で伸ばします。このとき、強く引っ張ると生地や刺繍を傷めるため、あくまで生地を「整える」イメージで行いましょう。
ステップ3:全体の汚れやシミをくまなく「点検」する
明るい場所で、襟元(ファンデーション)、袖口(皮脂)、裾周り(泥ハネ)、前身頃(食べこぼし)に汚れがないかチェックします。早期発見が、クリーニング費用を安く抑えるコツでもあります。
ステップ4:専用の着物ブラシで優しく「ホコリ」を落とす
表面についたチリやホコリは、時間が経つと繊維の奥に入り込んでしまいます。柔らかい着物専用のブラシ(馬毛など)を使い、生地の目に沿って上から下へ優しく掃き出しましょう。
2.型崩れを防ぐ着物のたたみ方
正しく畳むことは、余計なシワを防ぎ、次回の着付けをスムーズにするための大切な作業です。ずれないように生地を重ね、手でアイロンをかけるような感覚できっちりたたみましょう。
【基本】本だたみの手順
最も一般的で、どんな着物にも対応できるのが「本だたみ」です。平らな床にたとう紙を敷きその上に、着物の衿側を左、裾側を右に置きます。おくみを重ね、脇線を合わせることで、縫い目に沿った正しい折り目がつきます。これにより、保管中の不要なシワの発生を最小限に抑えられます。
【関連記事】
大切な着物のお手入れの第一歩!正しい着物の畳み方
【応用】夜着だたみ
裾に綿が入っていたり、刺繍が非常に豪華で厚みがある着物の場合、折り目によって刺繍が傷まないよう「夜着(よぎ)だたみ」という方法を用いることもあります。
3.着物を長持ちさせる保管方法

保管環境は、着物の「寿命」を左右します。特に日本の湿気から守るための対策が重要です。
定期的にたとう紙を交換
着物をほこりやしわから守る「たとう紙」は、和紙でできており通気性と吸湿性に優れています。紙が黄色っぽくなったり、パリッとした質感がなくなったりしたら、吸湿能力が落ちている証拠です。1〜2年に一度は新しいものに交換し、着物は1枚づつたとう紙で包みましょう。
湿気対策
収納は調湿・防虫に優れた桐のタンスが理想的ですが、ない場合は洋タンスや収納ケースに除湿シートを入れて湿気対策をしましょう。半年に一度くらいのペースで、乾燥した晴れた日に「虫干し」を行い、着物や収納スペースに空気を通すのがベストです。
防虫対策
着物専用の防虫剤を使用します。異なる種類の防虫剤を混ぜると、化学反応でシミができる恐れがあるため、必ず一種類に絞って使用しましょう。
【関連記事】
着物ってどうやって保管すればいいの?正しい保管方法
着物をきれいに保管する方法とは?タンスがない場合に使える収納についても解説
4.自宅でできる?着物のトラブル別の応急処置
汚れをつけてしまった際、慌てて「こする」のは厳禁です。汚れを広げてしまう上に、生地が擦れてしまうとプロでも修復が難しいため、正しい応急処置を覚えましょう。
雨や泥はねなど「水性の汚れ」
乾いたタオルやティッシュで、水分を吸い取るように優しく押さえます。泥汚れは乾くと粉状になるため、完全に乾いてから軽くブラシで落とすのがセオリーです。濡れているうちに拭くと汚れが奥まで入り込みます。
ファンデーション・皮脂など「油性の汚れ」
これらは自宅での完全な除去は困難です。無理にベンジンなどを使うと輪ジミになるリスクが高いため、汚れの箇所を確認したら早めに専門家へ相談しましょう。
食べこぼし・飲み物の「シミ汚れ」
水溶性のもの(醤油、ジュースなど)は、裏側に乾いた布をあて、表から水を含ませて固く絞った布で「叩き出す」ようにします。
【関連記事】
食事中に着物が汚れた!食べ物のシミの落とし方と予防策
着物にカビが生えたらどうする?茶カビや白カビの自宅での取り方を教えます
5.ここからはプロへ!着物をクリーニングに出す目安と判断基準
すべての着物を着るたびにクリーニングに出す必要はありませんが、以下の基準を参考にプロのメンテナンス(丸洗い・シミ抜き)を検討しましょう。
汚れやシミがついてしまった着物
目立つ汚れがある場合は、時間が経つほど落ちにくくなります。できるだけ早くクリーニングへ出すのが理想です。
フォーマルな着物(振袖・留袖など)
数年に一度着るかどうかの礼装は、たとえ汚れていないように見えても、次回の着用まで期間が空くため「毎回クリーニング」してから保管するのが最も安心です。
カジュアルな着物(小紋・紬など)
頻繁に着る場合は「1シーズンに1回」が目安です。季節の変わり目にまとめてお手入れに出すと良いでしょう。
帯や長襦袢
長襦袢は肌に近いため、多くの汗を吸っていることから、着物以上にこまめなケア(特に汗抜き)が必要です。帯は、目立つ汚れがない限りは陰干しのみで十分ですが、数年に一度は点検を兼ねてプロに見てもらいましょう。
6.まとめ
着物の手入れは、決して難しいことではありません。脱いだ後の「陰干し・点検・正しい収納」という基本を守るだけで、お気に入りの一着を長く美しく保つことができます。
しかし、自分では落とせないシミや、長期間保管する前の徹底的なメンテナンスは、やはり専門の技術が必要です。大切な着物だからこそ、信頼できるプロの目を通して、最適なケアをしてあげましょう。
▼着物のクリーニングなら鈴花へ
https://www.suzuhana.co.jp/cleaning/


.png)


