結婚式にお呼ばれした際に着る着物とは

結婚式に着る着物には、黒留袖・色留袖・訪問着・振袖などがありますが、新郎新婦との関係性や既婚・未婚などによって着るべきものが決まっています。

着物には格があり、新郎新婦に近い親族ほど格が高く、友人や同僚などは親族と比べると格の低い着物を着用します。上記の着物を格の高い順に並べると、黒留袖・色留袖・振袖・訪問着・色無地・付け下げの順です。

また、紋と呼ばれる家族などを表す印の有無によっても着物の格が変わります。紋には格が高い順に五つ紋・三つ紋・一つ紋・紋無しの4つがあるため、立場や新郎新婦との関係性によって選び分けが必要です。

結婚式にお呼ばれした際の着物の選び方

立場別に、着て行く着物の選び方を解説します。

新郎新婦の母親や既婚の親族は黒留袖

新郎新婦の母親や結婚している親戚は、黒留袖を選びましょう。黒留袖は既婚女性の正礼装で、結婚式で着られる着物のなかでは最も格が高い位置づけです。

とくに新郎新婦の母親は結婚式で格を求められるため、黒留袖がよく選ばれています。ほかには祖母・叔母・伯母など新郎新婦と近い親族も、黒留袖を着るのが一般的です。ただし、新郎新婦の母親の格を一番高くするために、ほかの親族はやや控えめの柄のものを選びましょう。

未婚の親族や主賓・上司としてお呼ばれしたゲストには色留袖

親族のなかでも未婚女性には、色留袖がおすすめです。黒以外の留袖全般が色留袖と呼ばれ、既婚者用の黒留袖とは違って既婚・未婚問わず着られます。五つ紋のものは黒留袖と同格、三つ紋・一つ紋のものは準礼装です。

親族以外に、主賓や上司として呼ばれたゲストも色留袖を着るのが一般的です。色留袖を着れば、ほかの一般ゲストよりも格が高い装いとなります。ただし、親族より格が上にならないよう、五つ紋の色留袖は避けましょう。

既婚女性や30代以降の未婚女性には訪問着・付け下げ・色無地

既婚女性や30代以降の未婚女性には、訪問着・付け下げ・色無地がおすすめです。いずれも既婚・未婚問わず着られる着物で、振袖よりも落ち着いた柄のものが多い傾向があります。

訪問着は模様が縫い目をまたいで続く華やかな着物です。友人や同僚などゲストとしてお呼ばれした際には、無紋の訪問着でも問題ありません。訪問着にもさまざまなデザインのものがあるため、格を求められないゲストにしかできないおしゃれを楽しむのもよいでしょう。

一方、親族としてお呼ばれした際には、紋を入れた訪問着でほかのゲストよりも格を上げるのもおすすめです。遠縁の親族の場合は無紋でも問題ありませんが、一つ紋や三つ紋の訪問着もチェックしてみてください。

付け下げや色無地は訪問着のように模様が繋がっておらず、やや控えめな着物です。格の高さは訪問着・色無地・付け下げの順で、どれも結婚式に着て行けます。あまり目立たない落ち着いた着物を選びたいときは、付け下げや色無地も検討してみましょう。

20代の未婚女性には振袖

未婚女性なら振袖が適しています。振袖は未婚女性の正礼装で訪問着よりも格の高い着物です。

振袖には、大振袖・中振袖・小振袖があり、袖が長いほど格式が高くなります。お呼ばれした結婚式では新婦が大振袖を着るケースもあるため、ゲストは中振袖に格を下げるのがマナーです。

また、振袖は華やかな柄のものが多いため、花嫁よりも目立たないという点にも注意しましょう。新婦と被らないように色だけでも確認しておくと安心です。

なお、振袖は未婚女性の正礼装なので、何歳であっても未婚であれば着てよいということになります。しかし、派手な色や柄のものが多いこともあり、30代以降の女性は落ち着いたデザインの訪問着に切り替えるケースが一般的です。

結婚式のお呼ばれで着物を着る際のポイント

結婚式のお呼ばれで着物を着る際は、帯と着物の組み合わせがポイントです。

帯は着物の格と合わせる

着物だけでなく帯にも格があるため、着物に合わせて適切な格の帯を選びましょう。留袖・訪問着・振袖など結婚式に着て行く着物には、袋帯を使うのが一般的です。袋帯は丸帯に次いで格の高い帯で、礼装・準礼装にあたる着物に合わせられます。

結び方は、留袖・訪問着の場合は二重太鼓結びがおすすめです。二重太鼓結びには「祝い事を二重にする」といった意味もあります。振袖の場合は、お太鼓結びや文庫結びで帯を結びましょう。

「染めの着物＋織りの帯」の組み合わせが一般的

着物や帯は、製法によって染め・織りの2つに分けられます。結婚式などのフォーマルな場所で着る場合は、染めの着物に織りの帯を組み合わせるのが一般的です。染め・織りの製法には、以下のような違いがあります。

• 染め：白い系で織った着物・帯を染めたもの
• 織り：系を先に染めてから着物・帯を織ったもの

着物の場合は染めのものが、帯の場合は織りのものが格が高いとされており、結婚式では格が高いものを組み合わせた「染めの着物＋織りの帯」を身につけるのがよいでしょう。

結婚式のお呼ばれで着物を着る際のマナー・注意点

結婚式のお呼ばれで着物を着る際には、一定のマナーを守る必要があります。

避けるべき着物の柄

留袖はどれも結婚式にふさわしい色・柄になっているため問題ありませんが、訪問着や振袖などを着て行く場合は色・柄に注意が必要です。とくに単体で以下の柄が描かれている場合、結婚式には適さないケースがあります。

• 桜：散ることをイメージさせてしまう
• 椿：花が丸ごと落ちる様子をイメージさせてしまう
• 下り藤：「下がる」というマイナスイメージがある
• 梅：散る・こぼれるといったことを連想させる
• 蝶：浮気などを連想させる

何かと組み合わせた柄であれば問題ありませんが、上記のようなものが単体で描かれているものは要注意です。

小物や髪型の注意点

着物に合わせる小物には、以下のようなものがあります。

• 長襦袢：着物の下に着るもの
• 半衿：長襦袢の衿につけるもの
• 帯揚げ：帯枕を包み、帯の形を整えるもの
• 帯締め：帯が崩れないように固定するもの
• 帯留め：帯締めと合わせてつける飾り

どれもフォーマルな場に適した白をベースにするのが一般的です。金銀の模様が入ったものもおすすめです。草履やバッグは、礼装に合わせて金色・銀色のものを選びましょう。

髪型はとくに指定の形はありませんが、目立ちすぎる大きな髪飾りは避けてください。生花を使った髪飾りは花嫁が使う可能性があるため、避けたほうが無難です。

まとめ

本記事では、結婚式にお呼ばれした際に着て行く着物の選び方や注意点などを解説しました。新郎新婦との関係性や年齢、既婚・未婚などを考慮して、適切な種類の着物を選びましょう。

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