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【きもの文様シリーズ】兎文様

様々な着物の文様を求めて走り回っている「きもの文様 千文家」山下啓介です。
私が出会った文様と、関連する豆知識をご紹介します。

3月3日は「みみの日」。耳と言えばうさぎ・・という事で、うさぎ好きさんの間で3月3日は「うさぎの日」と言われ、定着しているそうですよ。

着物にも「うさぎ柄」がたくさんあります。今回は兎文様についてご紹介します。

ツキ(月)を呼ぶ動物 兎文様

ツキ(月)を呼ぶ動物 兎文様

 

本日ご紹介する文様は、兎文(うさぎもん)

兎文様は、日本の伝統的な文様の一つ。

兎文様は古くから日本の文化に根付いており、着物や屏風、絵画など様々な美術工芸品に見られます。

月では兎がお餅をついている

 

月では兎がお餅をついているという話は、誰もが子供のころに聞いたことがあるのではないでしょうか?

調べてみると、その説話は中国が発祥で、月には不老不死の霊薬を作り続ける兎と蝦蟇(がま)が棲むと信じられていたようです。

 

日本に伝わると不気味なイメージのある蝦蟇はとりのぞかれ、可愛らしい兎と月の組み合わせが多く用いられるようになりました。

日本では転じてお餅(十五夜の望月~もちづき~にかけて)をつく姿ともされています。

 

この「不老不死」のお話から、兎は「長寿」の意味を持つとされました。

跳ねる姿からは「飛躍」。また、多産ということから「繁栄」の象徴ともいわれます。

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兎は日本でも古来から縁結びの神の使いとして大切にされてきました。

出雲神話のひとつ「因幡の白兎」では、兎が大国主命と八上比売の結婚を予言したことから、良縁と縁結びのしるしとして扱われます。

古くは飛鳥時代の「玉虫厨子」の須弥壇などにも兎は描かれていますが、本格的に文様として使われるようになったのは桃山時代以降とされています。

 

名物裂の「花兎金爛」

花の下で兎が振り返っている姿を横に並べた中国明時代の裂で、「名物裂・花兎金襴」で知られています。

花兎金襴は、桃山時代の豪商「角倉了以すみのくら りょうい)」が愛用したことから「角倉金襴」とも呼ぶそうです。

 

こちらは長い耳が特徴的な「波兎」

因幡の白兎は波を走り海を渡る出雲神話。

波兎は その神話を連想させますが、実際には謡曲「竹生島(ちくぶじま)」の「月海上に浮かんでは兎も波を走るかおもしろの島の景色や」をテーマとした耳の長い兎の文様で、江戸初期に大流行しました。

 

兎の図柄は様々に意匠化されていますが、上を丸くドームのような窓形を作り土のかたちにあらわすのが定番になっています。

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兎は後ずさりせず、前に飛び跳ねることから『積極的な行動・飛躍』を表すとされます。

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可愛らしい姿で着物に限らず様々なものに描かれる、今でもとても人気のある柄です。

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兎柄があるだけで一気にキュートになりますよね。

ではでは、本日も最後まで読んで頂きありがとうございます。

記事提供:きもの文様 千文家_山下啓介
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