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夏祭りで着物は着ていい?浴衣との違いや選び方を解説

夏祭りや花火大会に着て行くものといえば、浴衣が一般的によく着られています。薄手で涼しく動きやすい浴衣は、夏のイベントにぴったりです。

しかし、浴衣は着物のなかではカジュアルな印象もあり、透け感などもあることから「浴衣の代わりに着物を着て夏祭りに行きたい」といった人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、夏祭りで着物を着ていいのかどうか、着物と浴衣の違いなどと合わせて解説します。夏祭りに着て行きやすい夏着物の特徴や、着物と浴衣のどちらを選ぶか迷った際の選び方、夏に和装を楽しむためのポイントなども紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

着物と浴衣の違い

浴衣は着物の一種ではあるものの、両者にはいくつか違いがあります。

項目 着物 浴衣
生地 絹・木綿・ウール・ポリエステルなど 綿・麻・ポリエステルなど
着用する季節 年中
着用シーン フォーマル~カジュアル 夏祭り・花火大会など
下着 肌襦袢・裾除け・長襦袢 和装下着

 

着物は主に絹・木綿・ウール・ポリエステルなどのしっかりとした素材で作られており、厚手で上品な仕立てが特徴です。フォーマルな場面(冠婚葬祭、式典、お茶会など)から、季節に合わせたカジュアル着まで幅広く着用され、特にフォーマルなシーンで着用されることが多く、一年を通して着ることができます。ただし、下に肌襦袢・裾除け・長襦袢などをつけるため、夏場は暑く感じるでしょう。

一方、浴衣は綿や麻、ポリエステルなどの軽くて通気性の良い素材で作られています。
薄手で涼しく、透け感のある生地が多く、夏の暑い時期でも快適に着られます。
もともとは湯上がりの寝間着として使われていたため、現在では夏祭りや花火大会、温泉地などのカジュアルなシーンでのおしゃれ着として親しまれています。

着物では、名古屋帯や袋帯などを使って華やかに結び、帯締めや帯揚げなどの小物も合わせてフォーマル感を演出します。一方、浴衣には半幅帯などを使った簡単で可愛らしい帯結びが多く、気軽に着こなせるのが特徴です。浴衣の場合、基本的に帯締めや帯揚げは使いません。

基本的には、「着物=フォーマルな場面でも着られる、一年を通して着用可能」、「浴衣=夏のカジュアルなシーンで着用」と覚えておくとよいでしょう。

夏祭りにも着て行ける夏の着物とは

着物と浴衣の違いについて解説しましたが、夏祭りに着物を着ていくことに問題はありません。ただし、一般的な着物は厚手で、下に肌襦袢・裾除け・長襦袢を着用することから、夏に着ると暑く感じやすい点には注意が必要です。夏祭りに着て行くなら、夏用の着物を選びましょう。

夏祭りに着て行ける夏用の着物として挙げられるのは、薄物に分類される絽・紗・麻などの着物です。

絽(ろ)の着物の特徴

絽(ろ)は、夏の正装としても用いられる高級感のある素材で、涼しさと上品さを兼ね備えています。からみ織りという特殊な技法で織られており、平織りの部分と、規則的な透かし目(絽目)が交互に配置されています。この独特の織り方により、薄手でありながらも程よく肌を隠し、見た目にも涼しげな印象を与えます。

絽の着物は風通しがよいため、ジメジメとした夏でも快適に過ごせます。主に7月・8月の盛夏に着用されるのが一般的です。訪問着・付け下げ・小紋など幅広い柄があり、夏祭りや花火大会では、浴衣とは一味違う、より上品で落ち着いた雰囲気を演出したい時におすすめです。

紗(しゃ)の着物の特徴

紗(しゃ)は、絽よりもさらに透け感が強く、よりカジュアルな印象を持つ夏の着物素材です。縦糸と横糸を部分的に絡めながら織る「からみ織り」で、風通しに優れています。ほどよい透け感があり、爽やかに着こなせるのが魅力です。

紗の着物は主に小紋や紬などの普段着感覚で用いられ、夏祭りなどカジュアルなシーンにも適しています。デザインの選択肢も多く、浴衣よりも格上ながら、堅苦しさのない着こなしが楽しめるでしょう。

麻(あさ)の着物の特徴

麻(あさ)は、古くから夏の衣類として親しまれてきた素材です。吸湿性・通気性・速乾性に優れ、暑い夏でも快適に着られます。シワになりにくく肌離れが良いため、べたつかずさらりとした着心地を楽しめるのも魅力です。

麻の着物は主に普段着や街着として位置づけられ、夏祭りのようなカジュアルなシーンにも着て行きやすいでしょう。自宅で手洗いできるのも麻の着物の大きな利点で、ワンシーズンに何度も着たい場合でも気持ちよく着られます。

夏祭りに行く際の着物と浴衣の選び方

夏祭りに着物と浴衣のどちらを着て行くか迷っている方向けに、着物がおすすめな場合と、浴衣がおすすめな場合のそれぞれを紹介します。

着物で夏祭りに行くのがおすすめの場合

上品なおしゃれさや大人の気品を演出したいときは、浴衣よりも夏着物がおすすめです。仕事関係の人や目上の人と一緒に夏祭りに行くような、服装マナーが気になるシーンでも、夏着物であればおしゃれに楽しめます。ホテルやレストランで花火を見るといったケースでも、比較的フォーマルな夏着物なら安心です。

薄手の浴衣で電車やバスなどの公共交通機関を利用するのが不安な人にも、夏着物がぴったりです。しっかりとした作りで、下に肌襦袢・裾除け・長襦袢を身につける着物であれば、夏祭りのための遠出にも適しています。

浴衣を着られる年齢に制限はありませんが、「年齢的に浴衣は少しラフすぎる」と感じる人も夏着物をチェックしてみてください。絽・紗・麻といった夏着物なら、浴衣よりも落ち着いた大人な印象を与えられるでしょう。

浴衣で夏祭りに行くのがおすすめの場合

動きやすさを重視するなら、浴衣で夏祭りに行くのがおすすめです。肌襦袢・裾除け・長襦袢をつける着物と比べると、浴衣の方が身軽で歩き回りやすいでしょう。着付けも比較的簡単なので、自分で着たり直したりしやすいのも浴衣のメリットです。

価格面では、着物よりも浴衣の方が安めです。中古やレンタルならあまり費用をかけずに用意できるため、はじめての和装デビューにもチャレンジしやすいでしょう。

夏祭りを和装で楽しむためのポイント

夏祭りで着物や浴衣といった和装を楽しむためには、暑さ対策が重要です。下着・肌着には吸水性・速乾性に優れたものや、冷感素材のものを選びましょう。保冷剤入りのタオルや、冷却シートなどを活用するのもおすすめです。扇子や日傘などもあると役立つでしょう。

また、長時間和装のまま過ごすのであれば、帯は締めすぎないように注意しましょう。あまりきつく締めすぎると苦しくなってしまうため、ほどよい締め具合を意識してください。

足袋・草履・下駄などは足が痛くなりやすいため、対策が必要です。クッション入りの足袋インナーを履いたり、鼻緒が柔らかい草履や下駄を選んだりすると、長時間歩いても足が痛くなりにくいでしょう。

まとめ

本記事では、夏祭りに着物を着て行けるのか、浴衣と着物の違いなどと合わせて解説しました。浴衣と比べるとフォーマルな印象の着物ですが、夏祭りや花火大会に着て行っても問題ありません。絽・紗・麻といった夏着物なら、ほどよい通気性があるため暑い夏でも快適に着こなせるでしょう。

夏祭りや花火大会といえば浴衣が主流ですが、上品さや大人の気品を演出できる夏着物でワンランク上のおしゃれに挑戦するのもおすすめです。暑さ対策などには十分に気をつけながら、着物での夏祭り・花火大会を楽しんでください。

鈴花グループでは、九州・中国・四国地方を中心に、着物をはじめとした女性のファッションを提案しています。夏着物も取り扱っておりますので、「今年の夏祭りは夏着物を着て行きたい」という方は、ぜひ当グループにご相談ください。

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