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初詣の男性の着物スタイルを解説!羽織・袴の選び方の基本と着こなし

男性の着物姿は、日本の伝統美を感じさせ、新年のお参りをより格調高く、素敵な思い出にしてくれます。

しかし、「男性の着物は何を選べばいいの?」「羽織や袴は必須?」「寒さ対策は?」など、疑問がたくさんあるでしょう。

この記事では、初詣に着る男性の着物の選び方、羽織・袴の基本、粋な着こなしのポイントを解説します。

初詣にふさわしい男性の着物の種類

お正月の初詣は、一年の始まりに神様への敬意を示す大切な儀式です。男性の着物は女性の着物ほど厳格なルールはありませんが、「格」を意識することが大切です。

略礼装(りゃくれいそう)

初詣において、最もバランスが良く、多くの方に推奨されるのが「略礼装」に分類される着物スタイルです。具体的には、紬(つむぎ)や御召(おめし)などの上質な織りの着物に、共生地の羽織(はおり)を合わせたアンサンブルが代表的です。

落ち着いた色柄が多く、派手になりすぎないため、上品な印象を与えます。羽織を着用することで、着流しよりも改まった印象になり、新年の参拝という場にふさわしい格を保てます。

洒落着(しゃれぎ)・外出着

ごく近所の神社への軽い参拝や、純粋に「着物でお洒落を楽しみたい」という場合は、羽織を合わせない「着流し(きながし)」、または少しカジュアルな色柄の紬や御召といった洒落着(外出着)を選ぶことも可能です。

洒落着は最もカジュアルな装いとなり、人出の多い大きな神社や、格式の高いお寺への参拝では、周りの装いから浮いてしまう可能性があるため、羽織を羽織ることを検討しましょう。着流しを選ぶ場合は、着物や帯の素材を上質なものにし、だらしなく見えないよう着付けをきっちりすることが「粋」に見せるコツです。

初詣の男性着物の「羽織・袴」の基本知識

男性の着物スタイルにおいて、羽織と袴は「格」を決める重要なアイテムです。

羽織の役割と選び方

羽織は、着物の上から羽織るジャケットのような役割を持ち、装いに「よそ行き感」と「格式」を与えます。

役割

羽織を羽織るだけで、カジュアルな着流しスタイルが改まった外出着へと格上げされます。特に初詣のような改まった場では、羽織は着用することが基本です。また、冬場の防寒対策としても欠かせません。

選び方

  • 色:着物と同系色で濃淡を変えるか、着物と全く異なる色(例:濃紺の着物にグレーの羽織)を合わせると、コーディネートに奥行きが生まれます。
  • 紋:紋(もん)を入れると礼装に近づき格式が上がりますが、初詣であれば基本的に紋なしの羽織で問題ありません。

袴の選び方と着用シーン

袴は、羽織よりもさらに格を上げるアイテムで、着用すると装いが最もフォーマルに近づきます。

着用シーン

袴は、お宮参り、七五三、結婚式など、人生の節目の行事で着用するイメージが強いですが、初詣では必ずしも必須ではありません。ただし、格式の高い神社の本殿参拝や、本家への年始の挨拶など、特に格式を重んじる場合は、袴を着用することで敬意を表せます。

選び方

一般的に、初詣で用いるのは馬乗袴(うまのりばかま)や行灯袴(あんどんばかま)の縞柄や無地です。縞柄は、幅が細いほど格が高く、仙台平(せんだいひら)と呼ばれるような細い縞柄が上級です。

羽織・袴を着用しない「着流し」スタイル

着流しは、着物に帯を締めただけのカジュアルなスタイルです。着物を気軽に楽しみたい方には人気がありますが、初詣では以下の点に注意が必要です。

  • TPOの判断:比較的規模の小さい地元の神社など、混雑が少なくカジュアルな雰囲気であれば問題ありませんが、有名な大社などへの参拝には、羽織をプラスするのがマナーとして無難です。
  • 着こなし:着流しだからこそ、帯結びを丁寧に、足袋や雪駄まで手入れが行き届いていることが、だらしなく見せないための絶対条件です。

粋でおしゃれな男性の着物コーディネートと着こなし術

ご主人の着物姿を「粋でおしゃれ」に仕上げるには、色使いと小物の選択がポイントです。

着物の色・柄の選び方

  • 基本色:男性着物の基本は、濃紺、墨色、深緑、茶色といった落ち着いた濃色です。大人の男性の品格と知性を感じさせる色を選びましょう。
  • 柄の選び方:遠目には無地に見えるが、近くで見ると上質な織り柄がある紬(つむぎ)や御召(おめし)を選ぶと、控えめながらも上質さが際立ちます。お正月という晴れの場では、地味すぎず、程よい華やかさのある素材感が望ましいです。

帯選びのポイント

帯は、着物と羽織を繋ぎ、全身の印象を左右するアクセントになります。

素材と種類

初詣の略礼装には、硬くカチッとした印象を与える角帯(かくおび)が最もふさわしいです。格式が低い兵児帯は避けた方が無難です。

色合わせ

  • コントラストを楽しむ:濃色の着物に対して、帯はあえて薄茶、金茶、白、または明るい縞などの反対色(補色)を選ぶと、粋なコントラストが生まれ、全体が引き締まって見えます。
  • 羽織紐のアクセント:羽織紐に、帯の色や奥様の着物の一色を拾った明るい色を使うと、さりげないお洒落を演出できます。

夫婦や家族で着物を選ぶ際のポイント

ご家族全員で和装を楽しむことは、その場の雰囲気を華やかにし、ご家族の絆と一体感を深める素晴らしい体験となります。

  • 「格」の統一:奥様が訪問着や付下げ(略礼装)であれば、ご主人も紬や御召のアンサンブル(略礼装)を選び、お二人の装いの格を揃えることが、和装の基本マナーであり、最も美しい調和を生みます。
  • 「色」の調和:奥様の着物の地色や柄の一色と、ご主人の着物や羽織、帯の色をどこか一箇所で合わせると、統一感のある「コーディネートされた家族」という印象を与えられます。

快適な初詣のための防寒対策と準備のコツ

当日の参拝をスムーズにするための事前の準備は、快適な初詣の成功に不可欠です。
着物ならではの防寒対策の必須アイテムから、あると便利なもの、そしてレンタルか購入かの賢い選択まで、知っておきたい準備のコツをご紹介します。

防寒対策の必須アイテム

着物姿は首元や足元から冷気が入りやすいため、以下のアイテムで徹底した対策を行いましょう。

  • 和装コート:角袖コート(かくそでコート)やトンビコート(インバネスコート)といった和装コートは、防寒対策の必須アイテムです。これらは着物の袂(たもと)が収まりやすく、シルエットも着物によく合います。
  • 機能性インナー:現代の技術を活かし、襟ぐりが深く、着物から見えないVネックの機能性肌着を襦袢の下に着込むのがおすすめです。
  • 足元対策:
    • 重ね履き:足袋を2枚重ねて履く、または裏地が起毛した冬用の厚手足袋を選ぶと、足先の冷えをかなり防げます。
    • 爪皮(つまかわ):雪駄や草履の爪先部分に被せるカバーです。足袋の汚れ防止と冷気対策に非常に有効です。

初詣にあると便利なもの

  • 使い捨てカイロ:背中の帯の裏側や、腰の位置など、温めると効率が良い場所に貼ることで、身体を芯から温められます。
  • 大きめの風呂敷・手ぬぐい:神社で椅子に座る際や、食事をする際に膝にかけたり、手水舎で手を拭いたり、急な雨で着物を守ったりと、多用途に使えます。

レンタルか購入か

初詣のために男性の着物を用意する場合、着物販売・レンタルを手掛ける専門店のサービスを賢く活用しましょう。

項目 着物レンタル 着物購入
初期費用 安価で、必要な小物が一式揃うプランが豊富。 高価。着物本体以外に帯や羽織、小物も揃える必要がある。
手入れ 不要。着用後はそのまま返却できる。 必要。虫干し、シミ抜きなど手間がかかる。
着こなし 毎年、流行や気分に合わせて異なる色柄を楽しめる。 一度購入すると、その着物に固定される。

まずはレンタルで、着物体験が良いものになるよう、負担を減らすことが肝心です。

まとめ

この記事では、初詣の男性の装いを成功させるために、知っておきたい着物の種類、羽織・袴の基本、そして粋な着こなしのポイントをご紹介しました。

男性の着物スタイルは、羽織・袴の有無、帯の色使いに気を配ることで、着慣れた大人の品格を醸し出せます。

今年の初詣は、本記事を参考に、最も似合う格好良い着物スタイルを選び、特別な新年の幕開けを彩ってください。

鈴花では、お客様一人ひとりの体型やTPO、そしてご家族との調和を考慮した最適な着物コーディネートをご提案しております。初詣にふさわしい上質な男性着物のレンタル・販売から、着付けや小物に関するトータルサポートまで、ぜひお気軽にご相談ください。

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https://www.suzuhana.co.jp/

ライター紹介

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服部伸一郎

「京都きものレンタル和凛 」の服部伸一郎です。
京都の素晴らしいお出かけスポットを皆さんにご紹介します。

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